3Dプリンタ

3Dプリンタの勘合クリアランス実測表|実測どおりに作ると入らない理由と、確定した数値

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3Dプリンタで「既製品にはまる部品」を作るとき、最初にぶつかるのがクリアランスです。

実物をノギスで測って、その寸法どおりに作る。入りません。

この記事は、トミカタウンの道路パーツに接続する互換部品を作る過程で、実際に印刷しては削りを繰り返して確定させた数値の記録です。理論値ではなく、現物が合格するまで動かした実測値です。

2026年8月に追記:初版で「印刷して差し込み、結果が出たらこの記事に追記します」と書いた丸穴の勘合について、結果が出ました。設計どおりにならないのは凸側だけではなく、穴側も設計どおりには開きません。あわせて、オス短辺の確定値を9.2mmから9.3mmに改め、各数値が「実印刷の判定なのか、設計上の判断なのか」を表に書き分けました。

結論:先に答え

Bambu Lab A1・ノズル0.4mm・PLAで、既製品の凸部(オス)に挿さる部品を作る場合の確定値です。数字の横に、それが実印刷で決まったのか設計上の判断で決まったのかを併記しています。ここを混ぜると、あとで何を疑えばいいのか分からなくなります。

項目 確定値 元の値 その値がどう決まったか
オス(凸)の短辺 9.3mm 実物の実測 10.0mm 実印刷。10.0は既製品のメスに入らない。9.2は入る、9.4はギリギリ入る、9.6以上は入らない。9.3はその内挿で、9.3自体は印刷していない
メス(凹)の口 9.8mm 10.8mm 設計上の判断。既製品オス10.0に対して口元を締めるために狭めた(10.8で刷って緩かったのではない)。この値を含む一式で実印刷合格
メス先端/片側クリアランス 13.8mm/0.4mm 13.6mm/0.3mm 設計上の判断。メスの各壁を0.1mm外側へオフセットした結果(0.3で刷って不足したのではない)。一式で実印刷合格。以後この0.4mmは詰め直していない
丸ポールの受け穴(軸φ3.7) φ4.10 φ4.00(類推値) 実印刷クーポン。φ3.90もφ4.00も入らず、φ4.10だけが入った
看板ペグの受け穴(軸φ3.0) φ3.4 φ3.2 φ3.2は不合格だったφ4.00よりきつい設定。印刷する前に是正した(この穴自体はまだ印刷していない)

ポイントは2つあります。

  • 凸側は細くする。既製品側のメスは削れないので、自作側で吸収するしかありません。
  • 穴側は広げる。穴は設計値より実効的に狭くなります。穴を設計値どおりに開けても、設計値どおりの軸は入りません。

オス短辺の9.3mmについて補足します。初版に書いた9.2mmは不合格になったわけではなく、いまも既製品に入る合格値です。後述のスイープで「9.4mmはきついがギリギリ入る/9.6mm以上は入らない」と分かったため、合格が確認できている9.2mmと限界の9.4mmの中間を取って9.3mmにしました。純正部品の個体差とフロー変動で±0.1mmは動くので、手元の1個に「ギリギリ入る」寸法を製品値にはできません。ただし9.3mm自体は印刷していません。9.2と9.4に挟まれているから通るはず、という内挿です。

なぜ実測どおりでは入らないのか

実物の実測値10.0mmをそのまま設計値にすると既製品のメスに入らない。設計9.2mmまで細くすると片側に隙間が残り、はめ込める 設計 10.0mm(実測どおり) 既製品のメス 隙間ゼロ × 印刷後の実寸は設計値どおりにならないので、隙間ゼロでは入らない 設計 9.2mm(−0.8) 既製品のメス 片側に隙間 片側に隙間が残り、はめ込める(実印刷で合格した寸法)
実物を測った10.0mmをそのまま設計値にすると、既製品のメスに入らなかった。オス側を0.8mm細くした9.2mmで初めて嵌合した。ズレの向きと量は部位によって変わるため、この図に印刷後の実寸は書いていない。

実物を測って10.0mm。それを10.0mmで作る。入らない。理由は3つあります。

1. エレファントフット

1層目はベッドに押しつけられて潰れ、設計より外側へ膨らみます。挿し込む部品の根元がわずかに太くなり、これだけで入らなくなります。

2. 収縮

溶けた樹脂が冷えて縮みます。ただし縮む方向は一様ではなく、部品の形状と印刷向きで変わります。「縮むから大きめに作る」という単純な補正は、挿し込み部品では逆効果になります。

3. 押し出し幅の丸め

スライサーは壁をノズル幅の整数倍に丸めます。0.4mmノズルなら0.4mm刻み。設計で0.1mm刻みに調整しても、その差はスライス時点で消えることがあります。

この3つが重なるため、実測値をそのまま設計値にすると「きつい側」に外れます。

ただし「必ず太る」とは書けない

ここは正確に書いておきます。後の節に出てくるノギスの実測では、オスの根元は設計9.2mmに対して9.1mmと、設計より0.1mm細く出ています。一方で丸穴のほうは、設計どおりに開けた穴に設計どおりの軸が入りませんでした。

ズレの向きは、部位と印刷向きと測定位置で変わります。手元の記録から言えるのは「印刷後の実寸は設計値どおりの数字にならない」ことまでで、常に太る/常に縮む、という一方向の補正則は立てられていません。だからこそ、方向を推測せずにクーポンで確かめる必要があります。

穴も設計値どおりには開かない:φ4.00は入らず、φ4.10で入った

ここからが今回の追記です。初版で「未検証」としていた丸ポールの勘合を、クーポンで確定させました。

標識・信号・ミラーのポールは軸φ3.7mm。これを受けるタイル側の穴を、長らくφ4.00mm(片側0.15mm)という類推値のまま使っていました。穴径φ3.90 / φ4.00 / φ4.10 の3種を1枚に並べたクーポンを印刷し、同じ軸を差した結果です。

受け穴の設計径 軸φ3.7に対する片側クリアランス 実印刷の結果
φ3.90 0.10mm 入らない
φ4.00(当時の設計値) 0.15mm 入らない
φ4.10 0.20mm スッと入って保持する

設計値どおりの穴では、設計値どおりの軸が入りません。エレファントフットと押し出しの内側への膨らみで、穴は実効的に狭くなります。手元の環境では、穴側は設計値から0.05〜0.1mm程度は縮むものとして扱うのが実態に合っていました。

この時点で、標識5種が付くセットが「入らない受け穴」のまま出品一歩手前まで来ていました。クーポンを刷っていなければ、そのまま出していたことになります。

クリアランスは「比率」ではなく「絶対量」で決める

φ4.10が通ったあと、同じプロジェクトの他の勘合を洗い出しました。歩道橋の看板を留めるペグ穴が、軸φ3.0に対して穴φ3.2=片側0.10mmになっていました。

これは不合格だったφ4.00(片側0.15mm)よりさらにきつい設定です。同じプリンタ・同じ材料・同じ工程で作る以上、入る道理がありません。印刷する前に穴をφ3.4(片側0.20mm)へ是正しました。

ここで効いてくるのが決め方です。クリアランスは「軸径に対する比率」ではなく「FDMで穴が実効的に縮む絶対量」で決めます。φ3.7の軸で通った0.20mmを比率(約5.4%)に直してφ3.0の軸に当てはめると0.15mmになり、まさに不合格だった値に戻ってしまいます。軸が細くても、与えるクリアランスは同じ0.20mmです。

洗い出しの結果、この交差点セットで実際に軸と穴が嵌まる勘合は3種類しかなく、いずれも片側0.19〜0.20mmに揃いました。片側0.15mm未満の勘合は残っていません。ただしこの「0.19〜0.20mmで揃った」は、軸φ3.0〜3.7の範囲で言えることです。もっと太い勘合に同じ値が通るかは確かめていません(後述)。

穴の実効径は「内接円」で決まる

もうひとつ、モデリング側の落とし穴があります。3Dモデルの丸穴は正多角形の近似です。穴の実効径は外接円ではなく内接円で決まります。分割が粗いほど、実効クリアランスは設計値より目減りします。

看板ペグ穴の分割数を24から32に上げました。半径1.7mmの32角形なら 1.7 × cos(π/32) = 1.6918。実印刷で合格したタイル側ソケット(同じく32角形)と実効値が揃います。

生成したSTLの穴を60方位のレイキャストで実測した値です。

勘合 軸の外接半径 穴の内接半径(実測) 片側の実効クリアランス
ポール軸φ3.7 ↔ タイル受け穴φ4.10 1.8500 2.0402 0.1902(実印刷合格値)
タワー短ペグφ3.7 ↔ 桁の止まり穴φ4.10 1.8500 2.0402 0.1902
看板ペグφ3.0 ↔ 桁ボスの穴φ3.4 1.5000 1.6918 0.1918

穴の実測は min=1.6918 / max=1.7000。32角形の内接半径と外接半径そのものです。つまり設計半径1.7mmは穴のいちばん広いところの値でしかなく、軸が当たるのは1.6918mmのほうだということです。

なお、この実測には手順そのものの罠がありました。レイを飛ばす方位を 2πi/n ちょうどに取ると、穴の多角形の頂点方向とぴったり一致し、レイが2枚の三角形の共有エッジを素通りします。穴が無いという誤った結果が出ます。0.013rad ずらせば24角形にも32角形にも当たりません。検証手法そのものが間違っていると、合格したように見えてしまいます。

「片側0.4mm」がどこから来たか

初版ではこの0.4mmを確定値としてだけ書きましたが、出どころを正確に書き直します。

もとは片側0.3mm(メス先端13.6mm)でした。そこからメスの各壁を0.1mm外側へオフセットする設計変更を入れて、先端13.8mm=片側0.4mmになっています。0.3mmで刷って入らなかったから広げた、という経緯ではありません。

そのあと、オス短辺9.2mm/メス口9.8mm/メス先端13.8mm/深さ10.1mmの一式で、実印刷の最終合格を取りました。確認できているのは「この組み合わせなら入る」ことだけで、0.4mmが必要最小のクリアランスかどうかは分かっていません。記事末尾の「まだ検証していない数値」に、この0.4mmも入れてあります。

そのうえで、0.1mm刻みで調整する場合の目安です。

  • きつくて入らない → オス側を0.1mm細くする(メス側を広げるより確実。既製品と接続する場合はメスを触れない)
  • 入るが固い → あと0.1mm。ただし遊ぶ部品なら「少し固い」で止めるほうがよい。抜けるより良い
  • ゆるくて抜ける → 0.1mm戻す。緩い側の修正のほうが失敗が目立つ

ただし、この「合格/不合格」は相手を1つ決めて初めて言えることです。次の節がその話です。

既製品に合わせた寸法は、自作同士では合わない

連結テスト用のクーポンを2枚(AとB)刷り、3通りの組み合わせを試しました。①A↔B(自作同士)、②③Aと既製品の道路。初回の判定は3つとも合格でした。ところがその後の機能テストで、①の自作同士だけが緩いと分かりました。

設計値を並べると理由がはっきりします。自作オスは根元9.2mm、自作メスは口9.8mmです。

組み合わせ 口元の片側すきま 状態
自作オス 9.2 → 自作メス 9.8 +0.30mm すきま。最も緩い
既製品オス 10.0 → 自作メス 9.8 −0.10mm 締まりばめ

オスが小さいのは事実ですが、設計どおりです。「オス10.0では既製品のメスに入らない」と分かった時点で、オスは9.2mmまで0.8mm削りました。しかしメスのほうは、既製品のオス10.0mmを受ける基準のまま据え置いていました。

結果、自作メスは「0.8mm太い相手用の穴」になっています。既製品が相手なら合いますが、自作オスを挿したときだけ構造的に最も緩くなります。既製品との2通りが合格していたことと、まったく矛盾しません。

台形の傾きはオス11.9°/メス11.2°でわずかに違うため、片側すきまは口元0.30mmから先端0.18mmへ変化します。

「既製品と合う」ことと「自作同士で合う」ことは別の条件です。既製品互換の部品をシリーズで作るなら、両方を別々に検証する必要があります。

ノギスの実測は、測った位置で変わる

現物をノギスで測った値です。

部位 設計 ノギス実測
オス根元 9.2 9.1 −0.1
メス間口 9.8 10.3 +0.5

設計上のすきま(片側0.3mm)より、現物はさらに悪い状態でした。メス側の+0.5mmが効いており、メス単独でも緩さの主因になりうることが分かりました。

ただし、この+0.5mmには但し書きが要ります。この勘合は台形で、奥へ行くほど片側0.198mm/mmの割合で広がります。ノギスの爪が口から1.3mm内側まで入ると、ちょうど10.3mmという値が出る計算になります。測定位置の影響を切り分けられていません。先端側でも測って確かめる必要があります。

そしてオス根元は設計9.2mmに対して9.1mm、つまり設計より細く出ています。丸穴では「設計どおりでは軸が入らない=実効的に狭い」という結果が出ているのに、こちらは逆向きです。同じプリンタでも、部位と印刷向きと測定位置でズレの向きは変わります。一方向の補正則を立てず、勘合ごとにクーポンで確かめるしかない理由がここにあります。

もうひとつ、緩さを進めた可能性のある要因があります。既製品のオスは片側−0.1mmの締まりばめです。自作メスには応力を逃がす割りが左右に2本入っているので、押し込むたびに壁が外へ開き、PLAでは完全には戻りません。「先に既製品で試したこと自体が、自作同士のガタを増やした」という筋書きは否定できていません。

オス幅スイープ:9.4mmが天井だった

「オスを太らせれば埋まるのでは」を1回の印刷で潰すため、根元幅だけを9.4 / 9.6 / 9.8 / 10.0mmに振った4枚をクーポンにしました。先端幅13.0mm・メス側の寸法・割り位置はすべて共通で、変えたのは根元幅だけです。

オス根元幅 既製品のメス 自作メス(口9.8)
9.2(従来の確定値) 入る 緩い
9.4 きついがギリギリ入る まだ緩い
9.6 入らない
9.8 入らない
10.0 入らない

この方向は天井に当たりました。既製品のメスがオスを9.4mmで頭打ちにしているので、オスをいくら太らせても自作同士の緩さは埋まりません。

10.0mmを敢えて再投入したのは、それを「入らない」と判定したのが以前のプリンタ校正でのことだったからです。いまの校正なら通る可能性を、1回の印刷で潰しておくためです(結果は変わりませんでした)。

この結果を受けて、確定値を9.2mmから9.3mmに変更しました。9.2mm合格・9.4mm限界で挟まれているので、9.3mmの既製品互換は内挿で保証されると判断しています(確認の追加印刷はしていません)。ただしこの0.1mmは、自作同士の緩さをほとんど改善しません(片側0.05mm)。あくまで既製品側の安全余裕です。

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もう一つの没案:PLAの弾性リブは「逃げる」のではなく「潰れる」

自作同士のガタを埋める案として、メス口元の左右斜面に0.25〜0.3mmの弾性リブを立てることを検討しました。自作オスのときは掴み、既製品オスのときは既存の割りで逃げる。公称寸法を変えないので、検証済みの互換性を保てる——という理屈です。

撤回しました。数字が成立していませんでした。

項目
メス壁の厚さ(口元) 3.55mm
片持ち長さ(=割りの深さ) 6.5mm
撓ませたい量 0.3mm
そのときのひずみ 約3.8%
PLA許容 2〜3%

厚さ3.55mmで長さ6.5mmの壁は、バネではありません。オス側の爪も同じく太くて曲がりません。どちらもバネとして機能しないので、リブは「逃げる」のではなく「削れる/永久変形する」挙動になります。

そして永久変形は、既製品オスを挿すたびにメスの割りが開いて戻らないという、今回の緩みの原因そのものを悪化させる方向です。採用しませんでした。

スナップフィットを設計するときは、必ず「その壁は本当に曲がるのか」をひずみで確かめてください。厚い壁は逃げてくれません。

失敗の記録:スナップフィットが折れた

直角段差で撓みスパンが3.2mmしかなくひずみ9.4%、スリーブと環状ポケットで8.3mmに延ばしひずみ2.18% 折れた版 スパン 3.2mm 支柱本体 直角段差 曲がれる長さ 3.2mm ひずみ 9.4% 修正版 スパン 8.3mm 支柱本体 環状ポケット(空洞) 曲がれる長さ 8.3mm ひずみ 2.18%
設計上は5.2mmのつもりだったが、直角段差の位置で拘束され実際は3.2mmしか曲がれていなかった。PLAの許容ひずみは2〜3%。

クリアランスが合っていても壊れます。実際に折れました。

φ4mmのスナップフィットペグ(軸2.0R・返し2.45R)で部品を固定する設計にしたところ、PLAで印刷したものが、遊んでいる最中に折れました。

原因を数値で追うとこうでした。

項目 折れた版 修正後
有効撓みスパン 3.2mm 8.3mm
計算ひずみ 9.4% 2.18%
PLA許容 2〜3%
材料 PLA

ひずみ9.4%は許容の3倍以上です。折れて当然でした。

原因は軸から本体への断面が直角の段差で拡大していたことです。設計上のスパンは5.2mmのつもりでしたが、直角段差の位置で実質的に拘束されてしまい、実際に曲がれる長さは3.2mmしかありませんでした。

修正は、軸径を一定にしたスリーブと環状の空洞を設けて、曲がる長さを8.3mmまで伸ばすこと。あわせて根元にR0.45、返し肩にR0.2のフィレットを追加しました。直角のノッチは、そこに応力が集中して折れます。

なお修正後のひずみ2.18%は、PLAでは許容下限の2%を上回っており境界線上です。PETGなら余裕があります。爪のある嵌合部を作るなら、材料はPETGを勧めます。

まだ検証していない数値

正直に書いておきます。以下は実印刷で確かめていません。

  • メス先端幅13.8mm(オス先端13.0mmに対し片側0.4mm) — 入ることは確認済みですが、前述のとおりこの0.4mmは設計変更で置かれた値で、一度も実測で詰め直していません。既製品オスと自作オスは根元が0.7mm違う一方、先端幅はどちらも13.0mmで同じです。つまりメスの奥を締めれば、互換性を犠牲にせずに自作同士のガタだけ減らせます。13.8 / 13.6 / 13.5 / 13.4mmの4枚クーポンを用意した段階で、印刷結果はまだ出ていません。
  • 支柱スピゴットφ12.0mm / ソケットφ12.4mm(片側0.2mm) — 地下駐車場の支柱です。この0.2mmは丸ポールの検証より前から入っていた別系統の値で、φ4.10の結果を根拠にしたものではありません。クーポンも印刷していません。さらに、この記事に書いた内接円のルールを当てると片側0.170mm(32角形なので 6.2 × cos(π/32) − 6.0)、スピゴットの実測11.86mmを基準にすると片側0.24mmと、手元の記録の中でも値が割れています。前節の「0.19〜0.20mmで揃った」という帯には、この勘合は入れていません。径が3倍以上違う勘合で同じ値が通る保証はありません。

初版で未検証としていた丸ポールの受け穴は、上記のとおりφ4.10mmで確定しました。類推値のφ4.00mmは不合格でした。

クーポンを先に刷るのは、本番部品を刷ってから合わないと分かると、時間もフィラメントも大きく無駄になるからです。40×40×5mmのクーポンなら約8cm³。手元の実測レート(中実に近い小物で30cm³/時)から概算すると15分前後です。オス幅スイープのような大きめのクーポンでも4枚で42.2cm³、同じ概算で約1.4時間になります。いずれも体積からの見積りで、この2件の実測時間は控えていません。それでも本番の再印刷1回より安く済みます。

検証環境

  • プリンタ:Bambu Lab A1
  • ノズル径:0.4mm
  • 積層ピッチ:0.2mm
  • 材料:PLA(嵌合部の強度検証はPETGでも実施)

プリンタと材料が変われば数値も変わります。ただし「実測値のままでは入らない」という傾向は共通です。手元の環境で0.1mm刻みのクーポンを作って確かめるのが、結局いちばん早い方法です。

更新履歴

  • 2026-08-03 — 丸穴クーポンの結果を追記(φ4.00は入らず、φ4.10で確定)。オス短辺の確定値を9.2mm→9.3mmに変更。冒頭表に「実印刷で決まった値か、設計上の判断で決まった値か」の区別を追加。既製品互換と自作同士でクリアランスが別条件になる件、弾性リブを撤回した件を追加。

本記事で扱う互換部品は個人が製作した非公式のものであり、公式製品・許諾製品ではありません。記事中の製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。

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